ミチビキは、最初からAIを使った完成形として生まれたわけではありません。
むしろ、数多くの試行錯誤と遠回りを経て、現在の形へと成長してきました。
この記事では、ChatGPTとともに作り上げてきた「初期モデルの開発裏側」をまとめています。
同じように自動売買を作ろうとしている方にも、きっと参考になるはずです。
開発は「小さなEA」から始まった
2024年、ChatGPTを本格的に使い始めた直後、まず取り組んだのはシンプルなEAの作成でした。
ChatGPTに聞けばコードが出てくる。
修正すればまた答えてくれる。
その繰り返しで、
小規模なツールや簡易的な自動売買ロジックをいくつか作るところからスタートしました。
ただし、この段階では…
- ロジックは単純で
- 最適化の方向性も定まらず
- 期待したほど結果は伸びない
という、壁にぶつかっていました。
「もっと賢い自動売買を作れるはずなのに…」
そんな思いがずっと残っていました。
MQL5 × Python の“二重構造”に限界を感じた
最初に本格的なEAを作ろうとしたとき、構成は次のようなものでした。
- MQL5(EA本体)
- Python(AIモデル)
- EA → Python へデータ渡し
- Python → EA へシグナル返却
一見するとスマートな構成ですが、実際は…
- 二言語のメンテナンスが必要
- ChatGPTがMQL5を苦手としていて修正が大変
- Python側で変更するとMQL5側の整合も必要
- エディタも仕様もまったく違う
「これは効率が悪すぎる」と気づきます。
さらに致命的だったのは、
バックテストの再現性が安定しないこと。
Python側が更新されるたびに全体の挙動が狂うこともありました。
1年ズレただけで通用しない:バックテストの壁
何度もEAを作り直し、バックテストを繰り返しました。
しかし、結果は分かりやすいほど典型的でした。
2024年のローソク足で最適化した設定が、2025年では勝てない。
これは自動売買を作る人なら一度は経験する“過剰最適化”の罠です。
ChatGPTと議論を重ねた結果、わかったのは、
- 過去だけに合わせたロジックでは未来では通用しない
- 相場が毎年変化する以上、モデルも変化し続けなければならない
という当たり前の事実でした。
ここで視点が完全に切り替わります。
AIを“EAに組み込む”のではなく“Pythonへ集約する”という転換
ChatGPTとの議論の中で、決定的な気づきがありました。
「EAにAIを入れる必要はなく、
Python側でAIを構築し、MT5のAPIで取引すれば良い。」
これにより、システム構成は一気にシンプルになります。
- 使用する言語は Python のみ
- エディタも VS Code 一つ
- AIの更新もPython側だけで完結
- MT5の発注もPythonから直接行える
この方式に変えた瞬間、
開発効率が劇的に上がりました。
さらに、ミチビキの基盤となる 学習 → 検証 → 再学習 の流れを
自由に設計できるようになり、AI自動売買の構想が一気に広がりました。
最初のAIモデル:シンプルな二値分類のLightGBM
初期のミチビキAIは、驚くほどシンプルでした。
- 過去数本の価格変化
- ボラティリティ系の指標
- 時間帯
- トレンド強度の簡易的な数字
こうした特徴量を使い、
LightGBM で「上がるか・下がるか」を判定するだけのモデル。
しかし、これが予想外に強かった。
理由はシンプルで、
相場には「実は人間が気付かない癖」が多いからです。
- ある時間帯だけ勝率が高い
- 急騰直後は逆張りが通用しやすい
- ボラが一定以下だと勝率が落ちる
AIはこうした微細な傾向を拾い上げてくれました。
しかし同時に、すぐ壁にぶつかる
初期モデルでも勝てる日はありましたが、
運用すればわかる欠点がすぐに顔を出します。
- 低ボラ期で急に弱くなる
- 急騰相場では誤判定が増える
- モデルの“鮮度”が落ちると一気に弱くなる
この問題を研究していく中で、
ミチビキの方向性は自然と次の形に進みました。
ミチビキの“核”が決まる:Walk-Forward × KPI × SHAP
この時期に決まったミチビキの中心思想がこれです。
● Walk-Forward(WFO)
→ モデルを毎週再学習し、最新の相場に適応させる
● KPI(勝率・PF・月次利益率)
→ AIモデルの健康状態を見える化する
● SHAP(AIの判断理由の可視化)
→ “どんな相場に強いか”を解析できるようにする
仕様書v4でも、この考え方がシステムの土台として採用されています。
初期モデルからこの三要素が揃ったことで、
ミチビキは単なるEAではなく、
“成長し続けるAIトレードシステム” に進化し始めました。
まとめ:開発初期は「遠回りの連続」だった
実際の初期フェーズは、
- EA作成
- MQL5との格闘
- 二重構造の限界
- バックテストの罠
- 相場の変化への追従
- Python方式への統合
- 初期AIモデルの試作
- WFOの採用
まさに「試行錯誤の積み重ね」でした。
しかし、この遠回りがあったからこそ、
ミチビキの現在の構造が生まれています。
次の開発ログ②では、
XGBoost・LSTM・TFTなど、複数モデルへの挑戦
そして「長期運用で強いAI」を求めて導入した技術を紹介します。
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