(カテゴリー:自動売買の安全策)
AI自動売買が“バックテストでは勝っているのに、実弾では負ける”——
この現象のほとんどは 過剰最適化(過学習) が原因です。
過剰最適化は、
・AI自動売買
・裁量のインジ組み合わせ
・EA
すべてに共通する最大の落とし穴。
この記事では、
過剰最適化とは何か?
そしてそれを避けるには何をすべきか?
をわかりやすくまとめました。
ミチビキのWFO(Walk-Forward)や診断AIがある理由も、
すべてこの“過学習を防ぐため”です。
① 過剰最適化とは「過去に合わせすぎた状態」
過剰最適化(過学習)とは、
過去のチャートに合わせすぎて、実際の相場では機能しない状態 のこと。
具体的には:
・過去の勝てる部分にだけ最適化されている
・負け部分を過剰に“調整”してしまった
・特徴量が多すぎてモデルが複雑化した
・ルールが細かすぎて今の相場に使えない
こうした状態のAIやストラテジーは、
“バックテストだけ絶好調” になる。
そして実弾では、
・急に連敗
・DDが伸びる
・全然勝てない
という症状が出ます。
② なぜAI自動売買は過剰最適化しやすいのか?
理由はシンプルで、AIには
「過去に合わせようとする強烈な力」
があるからです。
● 特徴量が多い
● データ量が多い
● 木系モデル(XGBoost)やネットワーク系(LSTM)は柔軟すぎる
これらが組み合わさると、
“ちょうど良いモデル”より
“行き過ぎたモデル”が生まれやすくなる。
AIが賢いほど、逆に過学習しやすいわけです。
③ 過剰最適化の危険なサイン
以下の症状が出たら過学習の可能性が高いです。
● 過去のバックテストで成績が良すぎる
● 月ごとの数字にムラがない(不自然に均一)
● トレード回数が少なすぎる
● 新しい期間で急に勝率が落ちる
● 連敗が一気に増える
● 勝っていたロジックが急に通用しなくなる
こうした“異常点”を見抜くことで、
過剰最適化を早期に発見できます。
④ 過剰最適化を避けるための具体的な方法
AI自動売買で過学習を避ける方法は確立されています。
効果が高い順に紹介します。
1)Walk-Forward(WFO)を必ず挟む
過剰最適化を避ける最強の手法です。
WFOとは、
過去の一部で学習 → 未来のデータで検証
を繰り返す方法。
● 過去:学習
● 未来:評価
● そのまた未来:本番
という形で、
**“使うデータとチェックするデータを分ける”**ことが重要。
ミチビキでも標準でWFOを採用しています。
2)特徴量(FI/SHAP)をチェックする
FI(Feature Importance)
SHAP(特徴量の影響度)
これらを使うと、
モデルが“どんな理由で判断しているか”が見えます。
● 意味のない特徴量が上位に来ている
● ある特徴だけ異常に強い
● 時間帯や価格帯で偏りが大きい
これらは過学習の疑いが強いサイン。
ミチビキはAIタブでFI・SHAPを可視化できる仕様になっています。
3)部分的に“雑さ”を残す
これは意外と効果が大きい。
・複合フィルタの設定をあえて緩める
・細かい相場条件を詰めすぎない
・インジケータを増やしすぎない
“完璧に見える戦略ほど過学習しやすい”
という皮肉な法則があるためです。
4)勝ちすぎている期間を疑う
バックテストの成績が良すぎるときは、
必ず過学習を疑います。
例:
月利20%、30%の連続
→ ほぼ確実に過学習
AI自動売買は
月利3〜5%が“自然な成績” とされています。
5)再学習を定期的に行う
モデル劣化により、
良かった精度が急に落ちることがあります。
WFOと合わせて
・週1再学習
・月1再学習
を行うことで、
“相場の今” に追従できます。
ミチビキのスケジューラには
再学習を自動化する仕組みがあります。
⑤ ミチビキが実装している「過剰最適化対策」
ミチビキには、過学習を避けるための仕組みが複数あります。
● Walk-Forward最適化(WFO)
● FI・SHAPで特徴量の可視化
● モデル劣化チェック
● スケジューラで再学習を自動化
● 異常点検出(診断AI)
● 無理に複雑化しないフィルタ設計
● “攻めすぎない”ロット計算ロジック
仕様書でも説明されているとおり、
ミチビキの核心は
「過剰最適化を避けつつ月利3%前後を狙う」
という思想になっています。
まとめ:過剰最適化を避けた瞬間、AIは“安定”する
過剰最適化は、
バックテストだけ強くて実弾で勝てない理由の第一位です。
しかし、
・Walk-Forward
・FI/SHAP
・モデル劣化の監視
・再学習
・複合フィルタ
などの対策を組み合わせれば、
AIは驚くほど安定してきます。
AI自動売買を成功させる鍵は
“攻めること”ではなく“過剰最適化を避けること”。
次回の記事では、
「トレンド相場とレンジ相場で安全策はどう変わる?」
を解説します。
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