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ミチビキ開発ログ②:XGBoost・LSTM・TFT…モデル選びの舞台裏

AIを使った自動売買を開発していると、
避けて通れないのが 「どのAIモデルを使うべきか?」 という問題です。

実はこの問いに “正解” はありません。
相場の状況、特徴量、学習期間、ロジックとの相性……
それらが複雑に絡み合うため、
「万能モデル」は存在しない のです。

この記事では、ミチビキ開発の途中で実際に試した

  • LightGBM
  • XGBoost
  • LSTM
  • Temporal Fusion Transformer(TFT)

それぞれの特徴と、採用した/採用しなかった理由を
“開発ログ”として紹介します。


目次

LightGBM:最初に“武器”になった高速モデル

AIモデル選定の第一歩は LightGBM でした。

理由はシンプルで、

  • とにかく学習が速い
  • 精度と計算速度のバランスが良い
  • 特徴量を増やしても安定しやすい
  • 分類タスクと相性がいい

実際、ローソク足の特徴量、ボラティリティ、時間帯など
比較的シンプルな特徴量の組み合わせでも
一定の精度が出るため、最初のAIとしては申し分ありませんでした。

ただし、使い続ける中でわかったのは、

✔ 相場が“急変”したときの対応力が弱い

✔ 時系列の依存関係を深く捉えるのは苦手

という限界。

「今の相場」と「一週間後の相場」では性質が変わることもあり、
そのギャップが出やすいモデルでした。


XGBoost:精度は一歩上だが“重たさ”がネック

次に試したのが XGBoost

LightGBMに比べて、

  • 学習が重いかわりに表現力が高い
  • 多少複雑な相場パターンに強い
  • 外れ値に強く、安定性が高い

というメリットがあり、
バックテスト上ではLightGBMより良い場面も多くありました。

しかし、深く使ってみて気づいたのは、

✔ 学習やチューニングに時間がかかる

✔ Walk-Forward再学習の頻度が多いと負荷が高い

✔ 特徴量が増えるほど過剰最適化しやすい

という実用面の問題。

自動売買では「毎週の再学習」が前提になるため、
“重たいモデル”は使い続けるほど負担になる という現実がありました。


LSTM:時系列特化モデルの強みと難しさ

次に挑戦したのが LSTM(Long Short-Term Memory)

これはいわゆる“時系列AI”で、
チャートの流れやリズムを捉えるのが非常に得意です。

  • 上下の方向性
  • ボラティリティ変化
  • ローソク足の連続パターン
  • トレンドの持続性

こうした情報を「流れとして」学習できるため、
理論的にはFX向きのAIとも言えます。

しかし、実際に使ってみると、

✔ データ前処理が複雑

✔ 学習に時間がかかる

✔ 最適化が難しく、ぶれやすい

✔ 特徴量の追加で挙動が不安定になる

こうした問題が積み重なり、
安定した運用には工夫が必要でした。

特にバックテストと実運用の差が大きくなるケースも多く、
「強いときは強いが弱いときは急に負ける」という傾向がありました。


TFT(Temporal Fusion Transformer):次世代の時系列モデル

最新のAI技術として試したのが TFT(Temporal Fusion Transformer)

特徴は、

  • 複雑な時系列パターンに強い
  • “どの特徴が重要だったか”も説明できる
  • 長期依存関係も短期依存関係も扱える

という、従来モデルの弱点を克服したような構造です。

ただし、実際に使ってみると…

✔ 訓練時間が非常に長い

✔ 最適化に専門知識が必要

✔ データ前処理が煩雑

✔ 定期再学習との相性が難しい

といった“実戦でのハードル”が極めて高いことが分かりました。

TFTは「強力だが育てるのが難しいモデル」というのが正直な感想です。


モデル選びで見えてきた結論:「相場は1つのAIでは捉えきれない」

ここまで複数モデルを試して確信したのは、

✔ 相場の動きは、単一モデルで説明しきれない

✔ 相場には複数の“性質”がある

という事実です。

たとえば…

  • トレンドの時期 → 時系列モデルが強い
  • レンジ期間 → 木構造モデルが安定
  • 急騰時 → ボラティリティ重視ロジックが強い
  • 低ボラ時 → ノートレが最適解になることも

どんなAIにも“得意な相場”と“苦手な相場”が存在します。

だからこそ、ミチビキ開発では

  • モデルの定期再学習(Walk-Forward)
  • KPI(勝率・DD・月次利益率)の可視化
  • 特徴量分析(SHAP・FI)
  • 悪い相場を避けるフィルタ設計

といった “モデルを育てる仕組み” が重要になっています。


まとめ:強いAIを作るのではなく「適応し続けるAI」を育てる

AIモデル選びを通してわかった結論は、非常にシンプルです。

✔ どのモデルも万能ではない

✔ 相場の性質に合わせて“適応”が必要

✔ 定期的な再学習がもっとも重要な要素

✔ AIは「運用の仕組み」とセットでないと力を発揮しない

AIは“魔法のロジック”ではなく、
相場の変化に合わせて“育て続ける存在”です。

そのために必要なのが、

  • Walk-Forward再学習
  • KPIによる状態確認
  • 特徴量の監視
  • フィルタリング
  • バックテストデータの継続的更新

といった 環境づくり です。

モデル選びはその一部でしかありません。


次回は「なぜ多くの自動売買は失敗するのか?」

次の記事では、AIに限らず多くのEAが“負ける理由”を深掘りします。

  • バックテストの罠
  • 相場変化への無対応
  • リスク管理の弱さ
  • パラメータ最適化の問題
  • そもそも構造的に勝てないロジック

こうした“自動売買の失敗ポイント”を徹底解析します。

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