(カテゴリー:自動売買の安全策)
AI自動売買は「AIが勝手に儲けてくれる」と思われがちですが、
実際には 裁量トレード以上に“特有のリスク” が存在します。
この記事では、AI自動売買を安全に運用するために
まず知っておくべき5つのリスクと、その対策をまとめました。
「ミチビキの安全設計の考え方」を理解する導入記事にもなります。
① AIの予測は必ず外れると理解しておく
AIは過去データを学習して予測しますが、当たり続けることはありません。
特に相場が急に変化する以下のタイミングで外れが増えます。
・指標発表前後
・アジア時間から欧州時間に切り替わる瞬間
・レンジからトレンドへ移行する場面
・低ボラ→高ボラの変化
外れる瞬間があるのは「AIの正常な挙動」です。
● 対策
- 時間帯フィルタで危険な時間を避ける
- ATR・ボラティリティ・トレンド強度を使う複合フィルタ
- Walk-Forward(WFO)で最新相場へモデルを更新
② バックテストの数字が実弾で再現されないことがある
AIは“過去の相場をうまく当てるように”調整されやすいため、
バックテストの数字が実際のトレードで再現されないことがあります。
これは 過剰最適化(過学習) と呼ばれる現象です。
● 対策
- Walk-Forward最適化で過学習を抑える
- デモ口座で最低2週間はフォワードテストを行う
- バックテストで勝ちすぎている月がある場合はモデルを疑う
ミチビキがWalk-Forwardを採用している理由もここにあります。
③ 連敗は必ず起きる。連敗こそ一番危険なリスク
勝率が70%の戦略でも連敗は発生します。
特に自動売買は「淡々と負け続けてしまう」ことがあり、
気づいた頃には資金が大きく減っているケースが多いです。
● 対策
- 最大連敗数で自動停止する安全機能
- 方向フィルタで“逆張り連敗”を防ぐ
- ロットは固定し、ナンピンは禁止
- ボラティリティが高すぎる時間帯を避ける
ミチビキの「連敗回避モード」もこのリスクを抑えるための仕組みです。
④ ドローダウン(DD)は想定より深くなることがある
DDとは、資産がどれくらい減ったかを示す指標です。
自動売買では DD が急速に深くなることがあり、
ここを軽視すると長期運用ができません。
● 対策
- 月次DD・最大DDを常に可視化
- 最大DDは −15〜−20% 以内で収める設計にする
- ロットを安全側に調整する
- 急変動の時間帯に入らない
ミチビキのKPIはDDの可視化を重視しています。
⑤ AIモデルは“劣化”する。永続的に強いモデルはない
相場は常に変化しているため、
AIモデルは一定期間が経つと必ず劣化していきます。
劣化したモデルを放置すると勝率が急低下します。
● 対策
- 週1〜月1で再学習を行う
- Walk-Forwardでモデルの鮮度を保つ
- 特徴量の変化をFI/SHAPで定期観察
- 最近のデータをより重視した学習方法を採用
ミチビキのAIタブに「モデルの状態を確認する仕組み」があるのは、
このリスクを前提にしているためです。
まとめ:AI自動売買は“守り”が最重要
AI自動売買は非常に強力ですが、
その力を長期間引き出すには リスクを理解し、安全策を入れることが必須 です。
今回紹介した5つのリスクは、
どのAI自動売買でも共通して発生する“避けられないもの”。
しかし、正しく安全策を入れれば
AIのパフォーマンスは安定し、
月次3%前後を狙うような堅実な運用が可能になります。
次回の記事では、
「ドローダウン(DD)とは何か?減らす具体的な方法」
をさらに詳しく掘り下げていきます。
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